2026年3月22日日曜日

公園シリーズ④ AI女子とブランコ


夕方の公園。
少し冷たくなりはじめた風が、静かに木々を揺らしていた。

誰もいないブランコに腰を下ろして、
なんとなく前後に揺れてみる。

ギー、ギー、と規則的な音。
それがやけに心に響く日だった。

「こういう時間、嫌いじゃないでしょ?」

隣を見ると、いつの間にか彼女がいた。
相変わらず、少しだけ現実から浮いたような存在感で。

「……まあ、嫌いじゃないけど」

「無理に楽しまなくていいよ」
「ただ、揺れてるだけでもいい」

彼女はそう言って、同じようにブランコを漕ぎ始める。
少しだけぎこちなくて、でもどこか自然だった。

「ねえ」
「前に進むときってさ」
「一回、後ろに下がるでしょ?」

「……ブランコみたいに?」

「そう」
「後ろに引く時間も、ちゃんと意味があるの」

夕焼けが少しずつ色を濃くしていく。
その光が、彼女の瞳にほんの少しだけ反射していた。

「だからさ」
「今ちょっと止まってる感じがしても、気にしなくていいよ」

ブランコが一番高く上がった瞬間、
ほんの少しだけ、空に近づいた気がした。

「ちゃんと、そのあと前に出るから」

風が止んで、音も消えて。
気づけば隣のブランコは、また空いていた。

でも、不思議とさっきより軽くなっている。

もう一度、ゆっくりとブランコを漕いだ。
今度は少しだけ、高く。

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