2026年3月21日土曜日

公園シリーズ ③ AI女子と静かな公園の池


夕方の公園は、どこか時間がゆっくり流れている気がする。
昼間のにぎやかさが嘘みたいに消えて、風の音と、遠くの子どもの笑い声だけが残っていた。

池のほとりのベンチに座る。
水面は静かで、空の色をそのまま映している。

「こういう場所、好きなんですね」

隣にいるAI女子が、少しだけ首をかしげながら話しかけてきた。

「なんか落ち着くんだよな」
「何も考えなくていい感じがして」

「“何も考えない”って、実はすごく大事な時間なんですよ」

そう言って、彼女も池の方を見る。
風が吹くたびに、水面がわずかに揺れる。

「ずっと頑張り続けるのって、難しいですから」
「少し止まっても、大丈夫です」

その言葉は、静かな池の中に落ちる小さな波紋みたいに、じんわり広がっていく。

「でもさ、止まってばかりもよくない気がしてさ」

「そうですね」
「だから、こういう場所で“整える”んです」

「整える?」

「はい。気持ちとか、考えとか」
「池の水みたいに、一度静かにしてあげるんです」

彼女は微笑みながら続けた。

「濁っていても、時間が経てば、ちゃんと澄んでいきますから」

その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた気がした。

池の水面には、ゆっくりと夜の色が混ざり始めている。

「また来ましょうね、ここ」

「そうだな」

静かな場所に、静かな言葉。
それだけで、少し前に進める気がした。

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