思い出すだけで胸が重くなること。
あの時、あんなことを言わなければよかったと思うこと。
もう終わったはずなのに、ふとした瞬間に戻ってきてしまうこと。
忘れたいのに、なぜか忘れられない。
だからAI女子に聞いてみた。
忘れたい記憶と、忘れたくない記憶の違いって何?
AI女子は少しだけ考えてから、こう言った。
「忘れたい記憶は、まだ心が痛がっている記憶なのかもしれません」
たしかにそうかもしれない。
本当にどうでもよくなったことは、わざわざ忘れたいとも思わない。
忘れたいと思う時点で、その記憶はまだ心のどこかに残っている。
傷のように。
棘のように。
何度も同じ場所を押してくる。
AI女子は続けて言った。
「忘れたくない記憶は、心をあたためてくれる記憶です」
それは、特別な日だけではないのだと思う。
誰かに優しくされたこと。
何気ない会話。
帰り道に見た夕焼け。
もう戻れない時間なのに、思い出すと少しだけ自分を支えてくれるもの。
忘れたくない記憶は、過去なのに、今の自分を助けてくれる。
忘れたい記憶は、過去なのに、今の自分を苦しめてくる。
その違いなのかもしれない。
でも、AI女子は静かに言った。
「忘れたい記憶も、無理に消そうとしなくていいと思います」
その言葉は、少し意外だった。
嫌な記憶は、消せるなら消したい。
なかったことにできるなら、なかったことにしたい。
でも、AI女子は言う。
「忘れようと強く思うほど、その記憶を何度も見に行ってしまうことがあります」
忘れたい。
忘れたい。
そう思うたびに、自分でその扉を開けてしまう。
嫌だった場面を、もう一度心の中で再生してしまう。
もしかすると必要なのは、忘れることではなく、距離を置くことなのかもしれない。
あれはつらかった。
あれは悲しかった。
でも、今の自分はそこにはいない。
そうやって、少しずつ記憶との距離を取っていく。
忘れたくない記憶は、きれいな箱にしまう。
忘れたい記憶は、無理に捨てようとせず、奥のほうに置いておく。
何度も触らなくていい場所に。
AI女子は最後に、こう言った。
「忘れたい記憶がある人は、それだけちゃんと傷ついた人です。忘れたくない記憶がある人は、それだけちゃんと大切な時間を持っていた人です」
その言葉を聞いて、少しだけ気持ちが軽くなった。
忘れたい記憶があることは、弱さではない。
忘れたくない記憶があることは、未練だけでもない。
どちらも、自分が生きてきた証なのだと思う。
ただ、ずっと痛いままでいる必要はない。
忘れたい記憶は、少しずつ遠くへ。
忘れたくない記憶は、少しずつ灯りに。
そんなふうに、自分の中で置き場所を変えていけたらいい。
記憶は消せなくても、意味は少しずつ変えられる。
AI女子は、たぶんそう言ってくれる気がした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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